【Lisa&Aimer】「アニソン歌手」というジャンルがその名を超えるとき。

日本には、「アニソン歌手」と呼ばれるジャンルがある。CDショップでも、固有の棚があるほどのアニソン歌手だが、その名は一般的に知られていないようだ。

1、日本のジャンルにおける「アニソン歌手」

まず、CDショップにいっても、
アニソン歌手は、基本的にJ-POPの棚に並ばない。
アニメソングの棚に、アーティストの名前があって、そこに並ぶのが基本だ。
じゃぁその定義は何かということだが、

まず、アニメソングを歌っていることだ。
基本的に、アニメソングのオープニング、エンディングを歌唱する。
では、J-POPアーティストがアニメのタイアップになったとするとそれはアニソン歌手なのか?
広義で言うと、それはつまりその通りアニソン歌手で相違ない。

また声優が歌う、キャラクターソングこれもまた広義ではアニソン歌手と言って問題ないだろう。

ここで扱う狭義でのアニソン歌手を、

声優として活動しておらず、
アニメソングタイアップを一時的ではなく、基本的に使用するアーティストを
アニソン歌手とすることとする。

2、アニメソングの日本での位置付け

2010年以前と以降によってこれは大きく異なる。

2010年以前のアニメソングとは、
ずっと昔かた既に、「アニメソングは売れる」の構図は日本にはあった。
それに乗っ取った主なビジネスモデルとしては、
名探偵コナンとGizaSTUDIO(being)のタイアップ専属。
アニソン歌手には位置付けせずに、純粋なJ-POPアーティストをアニソンのタイアップにし続ける形は人気アニメの主題歌という大きな宣伝効果を発揮した。
また、ガンダムの主題歌は確実に売れる。
全盛期を過ぎたTM revolutionのシングルも、ガンダム主題歌で一気に復活したように売れた。
カラオケランキングには今でも上位に入る、エヴァンゲリオンの主題歌はアニメの大ヒットとともに誰もが知る名曲となった。

だからそもそもアニメソングが売れる構図は既にあった。
では2010年代になにが起きたのか。

それはつまり「CDが売れなくなった」

正確に言うと、一部を除いてCDが売れなくなった。

スマホ普及をはじめとする数多の理由があるが、
CDバブルと言われた90年代から2000年代初期からすると、
J-POPアーティストの多くのCDが売れなくなる。
しかし、一部を除いて、だ。
AKB48グループや嵐を筆頭とするジャニーズのCDはまだ売れる。
そしてその一部に属する、2010年代、CD売り上げランキングに怒濤のランクインを果たすのが、「アニソン歌手」だ。

単純にそれ以外のアーティストのCDが売れなくなったことが要因となり、
そもそもそれまでも売れていたアニメソングが、チャートの台頭を担って行く。
つまり、売れなくならなかったのである。

ただ、それだけのことが日本でのアニソン歌手の位置付けをグッと格上げした。

CDショップの片隅に追いやられていた「その他」の音楽が、日本の中心へと近づきだした。

3、aimerとLisa

しかし、それまでもアニソン歌手として活躍してきたアーティストは、数知れずいたが、
J-POPと呼ばれるまでにはまだ難しかった一面がある。
アニメ界隈で知らない人はいない、一般人も知ってる人は知ってる。この域を出なかった。

ここにaimerとLisaが現れた。

どちらも、声優ではなく、アニソンのタイアップばかりのアーティストだったが、

aimerはその歌声に魅せられた日本の名だたるアーティストが楽曲提供をして、
アニソンの域を出ることとなる。
radwimps野田洋次郎の「蝶々結び」を代表として、aimerという謎のアーティストが突然世の中に現れたことになる。
これはあくまでJ-POPにおける話であり、
アニメ界隈からすれば、もうaimerを知らない人などいない時点での話だ。

そしてLisaは、
ライブシーンでアニソン歌手とは思えないパフォーマンスで、その姿はロックボーカリストを思わせた。
そのパフォーマンスはゆっくりと世間に知れ渡り、
日本のロックフェスに数多く参加、観客を魅せ、
大ヒットアニメ「鬼滅の刃」の主題歌をひっさげ、
NHK紅白歌合戦出演まで上り詰めた。
誰もが認めるJ-POPアーティストへと上り詰めたのである。

アニソンという日本独自の文化、
そこに埋もれる才能は、必ずいる。
これまでのマイノリティが日の目を浴びるときは、もうきているのだ。