「松隈ケンタ」がすごい理由〜有名アイドルプロデューサーとの違いを比較
- 2020.05.07
- MUSIC
ヒャダイン、つんくの王道アイドルプロデュースと比較した松隈ケンタのやり方とは!?そもそもアイドルに興味がない?独特の発想がBiSを生んだ道のり。
1、BiSHのキャッチコピー「楽器を持たないパンクバンド」
アメトーークで「BiSH大好き芸人」が放送された、
幕張メッセ1万7千人動員、
今や国民的アイドルグループとなったBiSH。
彼女達を押し上げたプロデューサー、渡辺淳之介という男。
そしてもう1人、影の暗躍者、松隈ケンタがいる。
渡辺がプロデュースするwack所属グループのほとんどの楽曲を手がけるサウンドプロデューサー。
かつてバンド活動をしていた松隈にとって、
自分というインプットをアイドルにアウトプットする、
ただそれだけで、「楽器を持たないパンクバンド」が生まれたわけではない。
その独自のサウンドプロデュースにこそ、彼女達を光らせる理由があった。
2、「ユニゾンとか気持ち悪い」それは、既存のアイドルを壊すこと
彼の根本はここにある。
日本のJ-POPアイドルの基本メロディはユニゾンで構成される。
その理由はさまざまあるだろうが、
単純に多くのアイドルたちの、歌の下手さをごまかす手段として、
そして、レコーディングの時間短縮に用いられる。
彼はこのユニゾンを嫌う。
それぞれの個人パートを割り振り、
基本的にソロボーカルのパートわけで構成するのが
松隈ケンタのサウンドプロデュース。
もちろん、効果的に声を重ねる場面はあるが、(「遂に死」「NON Tie UP」など)
あくまで作品として、音楽としてである。
しかし、ソロで歌わせると、どうしてもアイドルのボーカルにはアイドルのクセが出ると松隈は語る。
それを解消する手法として、
まずファーストテイクを好きに歌わせる。
そして、その後、
彼女たちの個性を潰すかのように、
「マリリンマンソンを聞かせる」
「こういう歌い方をしろと逐一指示を出す」
など、独特の切り口でディレクションすることで、
彼女たちのボーカルに色をつけていく。
「アイドルの歌い方」「アイドルのクセ」
それはつまり、
今まで彼女たち自身が憧れてきたアイドルの歌唱法を真似たモノ
そう、マネでしかなく、それは模倣で、オリジナルではない。
そこを一度壊してから作り上げることで、
チッチやアイナのような、クセのある独特なボーカリストが出来上がった。
既存のアイドルという枠組みをはみ出して、
どこにもない唯一無二を作り出した。
アイドル飽和の2010年代後期、
類い無きやり方が、実に時代にマッチした。
「二番煎じ」はやらない。それが彼のやり方だった。
なんて当たり前のことだろう。
3、ヒャダイン、つんくのサウンドプロデュースとの比較
3−1、ヒャダイン
過去に、ももいろクローバーやでんぱ組などをサウンドプロデュースしたヒャダインは、
ボーカルディレクションをどうしていたか、
彼女たちの個性を活かし、
多少の音程の外しなどは、あえて採用するという方法をとっていた。
コッコナッツなどのセリフの部分などが顕著。
彼のディレクションは、
アイドルをアイドルたらしめる、
その音程の甘ささえ、「頑張っている」「応援したくなる」
その「人間性」を彼は追求した。
3−2、つんく。
モーニング娘。など、ハロープロジェクト全般の楽曲を作ってきた、つんく。は、
まず全員に全パートを歌わせる、
その中からいい部分を切り取って、
ずれている部分は波形編集で手直しする。
「効率がいい」からとのことだ。
モー娘。のメンバー自体もレコーディングした時点では、
自分がどのパートを歌うことになるのか知らず、
後に知らされるとのこと。
2000年代のアイドルブームの火付け役となったモー娘。他、のグループの長い歴史をプロデュースしてきた、つんく。ならではの手法。
結局、レコーディングまでに努力して練習して、
その一発のレコーディングにどれだけ自分の個性を出せるか、
メンバーの数、そしてアップデートという名の入れ替えシステム、
これらのアイドルの基本システムを作りあげたハロプロならではのやり方かもしれない。
実力のないものは、選ばれない。
「実力派」として、長年君臨し続けるモーニング娘。
そう呼ばれるには、それだけの理由がある。
4、プロデュースを総括。時代を切り開くのはそれぞれの感性。
結論として、時代にはその時代の天才プロデューサーがいることに間違いはない。
そして、その手法は、三人あげても三種三様、全く違う。
時代がうんぬん、どうこういうのは容易い。
結果を出した人間が正しいと言われただけ。
ただし、ヒャダインもつんく。も松隈も、
それぞれに芯のあるディレクションがあり、
それをアイドルに投影してきただけである。
ヒャダインは、ゲーム音楽のアレンジ、
つんくと松隈はバンドマン、
それぞれのバックボーンはあった。
彼らに持ち合わせたものは、それぞれの音楽性であり、
それを形にするそれぞれのディレクション、
それがそれぞれの感性。
貫いたものにだけある、その結果。
そしてまだ続くBiSHのこれからを、
松隈ケンタが彩っていく。
次はどんな音楽を届けてくれるだろう。
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